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オーガニック対談 相川七瀬×和気 優
- 2015/4/23
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1995年のデビュー以来、常に第一線で活躍しているロックシンガーの相川七瀬さん。近年、重要無形文化財に指定された赤米栽培との出会いをきっかけに農業との関わりを深めている。そこで、AOZORA実行委員長で音楽活動も続けている和気 優が相川さんから農業の魅力を聞き出した。
農業に宇宙の循環を見る
和気 3年前に下北沢で地域マーケットを立ち上げて、今回は規模を大きくして目黒で開催します。食や農業のことにも関心があると聞きました。
相川 農業は大好きです。ものを食べるって、命を活かすこと。当たり前のことだけれど、規模を大きくして考えると、すごく宇宙的ですね。
和気 分かります!
相川 そういう観点からみると、農業は本当に良くできていて、宇宙の循環だなと思っています。そこに古代の人たちは神を見出して、稲穂の神様をまつったりしてきたのだと思います。
和気 神事は農に縁(ゆかり)がありますよね。我々と付き合いのある農家っていうのは超個性的な百姓ばかりです。彼らと話していて必ずたどり着くのが、その宇宙観なんです。
相川 農業をやられている方は、その人のストーリーが出てきますね。私たちは音楽を作り、アーティストやクリエイターと格好いい呼び名があるけれど、農家こそがそれに相応しいじゃないですか。
和気 まさにそうです。
相川 私たちは心を元気にしたり勇気づけるような曲を歌っているけれど、あの人たちは本当に身体のよろこぶことをクリエイトしている。だから農家の人は私たちのようなクリエイターと似ているところがあると思います。
和気 似てますね。
相川 だから感情移入してしまい、跡取りがいないという話を聞くと、応援したくなっちゃいます。
和気 よく分かります。自分も15年前に米づくりを始めたとき、業界の人間たちは、「こいつは、いきなり何を始めたんだ」と理解してくれなかった。けれども2011年の震災を期に、これを感覚的に理解してくれる人が加速度的に増えたんですよ。
農と食の未来を叫ぼう!
和気 農業や食べることは、まさに今、東京に住んでいたらすごくリアリティがあって、今まで何も考えることなく、運ばれてきたものを口に入れていた結果として悪いことがある。そうしたことを考えなければいけないと叫ぶことはロックだと思う。
相川 分かる。私もそう思う。以前、対馬で開催された日韓友好ライブに呼ばれた時に神事で使われてきた赤米と出会いました。そして栽培している氏子さんから、「何千年も続いてきたけれど、僕がいなくなったら終わりです」という話を聞いたの。
和気 それは対馬の古代種なのですか。
相川 そうなんです。その話にすごく感情移入してしまって、これを何とかしたいと思い、対馬市と相談して、赤米の大使をやらせていただくことになりました。
和気 すばらしい! 自分も音楽をリアルな現場に届けようと少年院ツアーを始めて、その旅で有機農家と出会いました。それはロックに出会ったことと同じくらいの衝撃でした。 我々が始める目黒でのオーガニックマーケットでは、農業の醍醐味や本質を伝えたくて、そうしたことをするとき、音楽という媒体はすごく有効だと思います。
相川 私の名前に影響力があるなら、氏子さんや農家の方がつないできた歴史を残すことの助けをしたいと思ってます。デビューから20周年の大台を迎えて、また3人の子どもの母親として、21世紀を担う次の世代にちょっとでも安全な未来を与えてあげるための活動に自分の新しいステージがあるんじゃないかと、そこをすごく追いかけてます。急に丸くなったねと言われたりもしますけど。
和気 それをあえて言う生き方がパンクなんですよ。相川さんのしていることはエッジが効いていて、それこそロックです。AOZORAにもぜひ遊びに来て下さい。 (構成/安藤啓一)