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100年先につなげる・つながる、大切なこと~映画『100年ごはん』大林千茱萸監督に聞く
- 2015/4/23
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映画『100年ごはん』上映会+トークイベント╱4月26日(日)11時~14時、圓融寺客殿にて
『100年ごはん』が、宣伝費ゼロながら、観客の口コミだけで広がっている。大分県臼杵(うすき)市が取り組む有機農業を描いた映画が、なぜそれほど人の心を動かすのか。
AOZORA上映に向けて、大林千茱萸(ちぐみ )監督に聞いた。
「これから臼杵市で起こる事を映画にしてもらえませんか?」
そう言われたのがきっかけだったと語るのは、この映画を監督した大林千茱萸さん。6年前、当時臼杵市市長だった後藤國利さんから依頼を受けたときの事だ。
2010年に大分県臼杵市が開設した臼杵市土づくりセンターは、草木と豚糞だけで堆肥を製造する施設。無農薬無化学肥料の有機農業を推し進める、有機の里・臼杵の象徴ともいえる。後藤さんの依頼は、センター建設から堆肥づくり、畑の土づくりを経て、種まき、収穫に至る一連の試みをドキュメンタリー映画にしてほしい、というものだった。
依頼を引き受けた大林さんは2009年から4年間、臼杵市に通い、大分在住のスタッフとともに撮影を続けた。撮影素材120時間。その映像をまとめたのが、映画『100年ごはん』なのだ。
映画は、四季折々の風景を織り交ぜながら、健全な食の未来を実現するため日々を生きる臼杵の人びとを丁寧に映し出す。その姿は、映画を見ている私たち一人ひとりにも踏み出せる一歩があることを教えてくれる。
このメッセージを伝えるために大林さんが心がけたのは何か。
「特別な主役をつくらないことです。臼杵の皆さんはどなたも魅力的で、誰もが主役になれるほど。でも、時の流れの中で人が変わってもぶれない意志がなければ、プロジェクトは継続しない。だから群像劇にして、未来の人たちにつなげる哲学を描き、過去と現在と未来は地続きであると伝えたかった。実際、臼杵では、生産者、消費者、給食センター、農協、JASの認定機関といった立場の枠を越えて同じ方向に進んでいます。だからこそ、どの場所で誰が観ても心に寄り添うポイントが見つかる映画なのだと思います」。
この映画の特徴はまだある。
「映画に足りないものを添えることにしました。味と香りと匂いです。上映会では、映画を観た後、共に食事をし、語らい、人生を咀嚼することで、より良い未来を想う時間を共有する試みです」。
五感で感じる映画『100年ごはん』。観て、味わって、語り合って、100年後の食のため自分にできる何かを探してほしい。 (構成/中村謙太郎)